ジャイルズ・ロングMBE

 


水泳の経歴

ジャイルズ・ロングMBEは、パラリンピックで三つの金メダルを獲得した水泳選手です。ロング氏の最も輝かしい経歴は、世界記録タイムで2000年シドニーパラリンピックS8 100メートルバタフライの金メダルを獲得したことです。


Sydney Celebration


ロング氏は、マルタでの1994年世界水泳選手権で初めて国際的成功を収め、新世界記録で100メートルバタフライの金メダルを獲得しました。同氏は、翌年フランスで開かれた欧州水泳選手権でも同じ種目で優勝しました。

同氏が初めて参加したパラリンピックは、1996年アトランタ大会であり、このとき三つのメダルを獲得しました。100メートルバタフライで金メダル、メドレーリレーで銀メダル、200メートル個人メドレーで銅メダルです。

4年後の2000年シドニーパラリンピックでも三つのメダルを獲得しました。100メートルバタフライで金メダル、メドレーリレーで銀メダル、フリースタイルリレーで金メダルです。フリースタイルリレーで同氏は、GB(英国)の決勝戦出場が認められるヒートチームの一員でした。

同氏の3回目で最後のパラリンピックは、2004年のアテネ大会であり、このときS8 100メートルバタフライで銅メダルを獲得しました。

ロング氏は、2005年にエリザベス女王からMBE(大英勲章第5位)の称号を授与され、2007年に競泳を引退しました。


若年期

ジャイルズは、イーストロンドンで生まれましたが、英国エセックス州、ブレーントリーで育ちました。彼は、記憶にある限り幼少期から泳ぐことが大好きでした。ジャイルズは、1983年、7歳のとき初めてスイミングクラブ(ブレーントリーSC)に入り、テレビで1984年ロサンゼルスオリンピックを見た後、オリンピックに出たいと思うようになりました。

しかし、13歳のときジャイルズは、腕を骨折し、それがきっかけで上腕の上端に骨腫瘍があることが判明しました。その後2年にわたって化学療法、放射線治療および数回の手術を受けた後、右上腕の人工装具を装着することになりました。

T右肩の可動性が大幅に低下したため、彼の競泳キャリアは実質的に終わりました。しかし彼は、泳ぐことがやはり大好きであり、スイミングクラブで大きなサポートを受けたため、左腕しか使えませんでしたが、水泳を続けました。

しばらくすると、彼のコーチは、彼を水泳競技会に参加させるようになり、イーストロンドンでの競技会でジャイルズは、英国パラ水泳チームのメンバーの目に留まりました。これによって水泳への情熱が再び呼び起こされ、パラリンピック大会への道筋がつけられました。


テレビ&ラジオ

 

ジャイルズは、BAFTA(英国映画テレビ芸術アカデミー)を受賞したチャンネル4チームの一員であり、このチームは2012年ロンドンパラリンピックを放映しました。ジャイルズのチームへの功績は高く評価され、尊敬されているジャーナリストのクライブ・ジェームズ氏は、次のような記事を書きました。「ジャイルズ・ロング氏は、パラリンピック競泳で自身が3回金メダルを獲得しており、障害のある水泳選手の必要条件について徹底的に説明したため、みんなが水泳競技全般について多くのことを学んだ」。

2012年までジャイルズは、2010年IPC世界水泳選手権、2011年IPC欧州水泳選手権の生中継に出演し、ザット・パラリンピック・ショーを報道するとともに、BBCニュースやスカイニュースでも仕事をしていました。

2012年ロンドンパラリンピックの後、ジャイルズは、引き続きチャンネル4の競泳放送のプレゼンターやコメンテーターを務めましたが、BBCの消費者向け看板番組のウォッチドッグでも仕事をしました。彼は、2016年リオパラリンピックおよび2019年IPC世界パラ水泳選手権でのチャンネル4の放映チームに再び参加しました。

ジャイルズは、水泳はまだ続けていますが、BBCラジオ1、BBC 5ライブおよびBBCラジオ・マンチェスターでも短期間働きました。

ジャイルズは、テレビ局での仕事以外に、やる気を起こさせインスピレーションを与える講演者としても成功を収め、世界中の企業や組織で仕事をしています。


LEXI

ジャイルズは、画期的なインフォグラフィックシステムであるLEXIの考案者です。LEXIは初めて、分かりにくいパラリンピックスポーツのクラス分けシステムについてテレビ視聴者に効率的に説明しました。このシステムは2010年に初めて使用されましたが、英国のチャンネル4とオーストラリアのABCが2012年ロンドンパラリンピックの放送でLEXIを使用したのが、大きな突破口になりました。

このとき以来LEXIは、137カ国のテレビ画面で表示されており、その後ずっとパラスポーツ放送の基準になっています。

レクシコン・デコーダー社は、LEXIの世界的権利保有者です。


LEXI Black&White